蟲師 第六話 「露を吸う群」 

夜になると死に朝が来ると生き返ることで生神として崇められている少女の話。
時間というものが今回のテーマ。一生という人の生きる時間と一日という蟲の生きる時間。二つの時間を体験した少女が最後に選んだ結末というのが、なんとも物悲しい。余韻を残すラストが、この作品らしさなんだろう。
シリーズを通して感じる事だけど、この作品は基本的に「怖さ」を秘めている。今回の話では、少女が瞬間的に老化していくシーンや額から螺旋状の蟲が飛び出してくるような、視覚的な怖さが端的なものとして、時間という悠久の存在がもたらす畏怖が潜在的なものとして、このような多重の「怖さ」あるいは「恐れ」といったものが作品を構成しているように感じる。そして、絵的な和風の描写よりも、こういった恐怖の構図というものに日本的なものを見出してしまうのである。
で、次に絵の話に移るのだが、作中で何度か現れる夜明けのシーン、暁光に染まるパープルの空がやけに印象的だった。本当に背景描写が美しい作品だ。その印象をさらに強くするのが音楽。落ち着いた曲調が、この作品に非常にマッチしている。このように全体的なバランスが良い作品で、第一話で受けたインパクトをいまだ持続させているのは、クリエイタの信念によるものだと思う。匠の技ですよ。すばらしい。
このままの作品の質で完遂してほしいものですな(´∀`)