魍魎の匣 (京極夏彦) ISBN:4061818120

結局、2日間で読んでしまった。見方を変えれば2年がかり?

「楠本君。君は私の、そして私は君の生まれ変わりなんだ。」

雑司が谷の事件から2ヵ月後、木場修太郎は柚木加菜子という少女が列車にはねられた現場に居合わせる。何とか一命を取り留めた彼女が移送されたのは「美馬坂医学研究所」。それは巨大な箱の形状をした、奇怪な建物であった。同時期、世間はバラバラ殺人事件が発生していた。関口巽カストリ雑誌の編集者鳥口守彦とともにその事件について調査することになった。連続バラバラ殺人事件、消失した少女、永遠の命を探求する科学者、匣の中の娘、魍魎を封じる霊能者、そして箱・筥・匣……蠱惑的なキーワードと魅力的なキャラクタによって饒舌に語られるミステリ。
と、簡単にあらすじを説明するとこんな感じになるわけだが、バラバラの描写は本当に気分が悪くなったなー。スプラッタな展開はたとえ文章だけでも苦手みたいだ(´Д`;) 本作には作中作の文章があったりするのですが、その作中作の後編の文章は背筋が寒くなったよ。
ポイントになるのはやっぱり言いたい事、テーマになることをビシッと盛り込んでおくことなんだろう。この作品の場合「順番が肝要である」「幸せとは何か」「事件に対する動機とは」などの事を京極堂に言わせたくて書いているような印象を受けた。あとは、多少胡散臭くてもとにかく本当と思わせるような論理付け、そのための調査が重要であるということ。
まぁ、この作品については色々と語りつくされているような気もするので、この辺でやめておこう。最後に重要じゃないけど、とても印象的だったセリフを一つ。

「増岡さん。言葉ってのはな、通じる人間と通じない人間がいる。どう思っていようと通じなけりゃそれまでだ。お前さんの言葉は、通じ(にく)いんだよ」

増岡さん、かわいそう(つД`)