CA-1

午後になって突然ドライブがしたくなった。気候も良かったからか、何となく海が見たかったので海岸線を走るCA-1に向かってみることにした。CupertinoからI-280を北上。それからCA-84を西に向かう。シリコンバレーの名の通り、サンノゼあたりから太平洋に向かうには山を越えなくてはならない。山道を縫うように走る。小刻みにカーブがあるため速度があまり出せないが、急いでいるわけではないのでのんびりと走った。
しばらくして、山中の何も無いようなところで車の流れが完全に止まった。そして10分くらい立ち往生。どうしたものかと思っていたら反対車線をパトカーが下ってきた。それに合わせて車も流れるようになる。少し先の路肩に左側がベコベコになった乗用車が止まっていた。事故だったのだろうか。そのあとは順調に進んだ。鬱蒼とした森を抜けると、裾野に緑の草原と黄色の花がコントラストをなしていた。そして空も青い空間と白い雲がバランスよく2色に塗り分けられている。雲が地表ギリギリまでせまっている。なんだか幻想的な光景だ。100km/h近い速度で走っているので撮影できないのがくやしい。などと考えているうちに、車も雲の中に突っ込んだ。そしてまもなく左右に分かれる道路にぶつかる。84号線はどっちだろうと考えたが、表示が無い。おかしいと思ったが、疑問は氷解した。このぶつかった道路こそが1号線なのだ……と言うことは、海岸にもう近いと言うことか。したがって雲の中を走っていたわけではなく、このあたりが濃霧に包まれていただけなのだ。
せっかく海を見に来たのに、こんなにガスがかかっているなんて。運が無い自分を呪った。さて、交差点を左に、CA-1を南に向かうことにする。曲がってすぐ右のところに駐車場があった。よくわからないが車を止めてみることにした。そこは「San Gregorio State Beach」だった。霧で周りもよく見えないのに、家族連れがいっぱい遊びに来ているようだ。200人はいるような感じだ。さすがに泳いでいる人はほとんどいないが。あとはカモメがいっぱい飛んでいる。結構近くを飛んでるので怖い。さて、砂浜にでて波打ち際まで行ってみる。海の先のほうに視線を向けて、ぼんやりと考えた。この先には日本があるのだろうか。具体的に言うと小名浜とか。
San Gregorioを後にし、海岸線を南へ南へと向かう。すると霧が次第に晴れてきた。神様ありがとう。僕はあなたに嫌われていたわけではなかったのですね。路肩が広くなっているところに、すでに何台かの車が止まっていたので、私も車を停車させることにした。海岸線は小さなリアス式のように入り組んでいて、がけの下は岩場だったり砂浜だったりしている。がけの上は灌木と菜の花が模様を作っている。のどかで美しい光景だ。再び車を出した後も何度か車を止め、デジカメで風景を撮影した。
CA-1を走り続けるとサンタクルーズの街に入る。ガイドも何も持っていなかったし、海岸線を走る目的も果たしていたのでここでは何もせず、アパートの方に帰ることにした。CA-1と接続しているCA-17を北に向かえばサンノゼ方面だ。
こうして唐突にはじめた3時間以上のドライブは唐突に終わる。